Pediatrics

小児科疾患

小児科のご案内

小児科では、お子さんの突然の健康トラブルや小児期特有の疾病に関して、診断・検査・治療を提供しています。お子さんは大人に比べると免疫力がまだ確立していません。そのため日々、鼻水、鼻づまり、発熱、咳、のどの痛み、腹痛、便秘、嘔吐、下痢、けいれんなどの兆候が見られます。重篤な疾患に結びつく可能性もあるため、いつもと少し様子が違うと思った場合は、お気軽に当科をご利用ください。

詳しい診察の結果、専門的な検査や入院治療、手術が必要と判断された場合は、適切な医療機関をご紹介します。

手足口病

手足口病は、口腔粘膜や四肢末端に水疱性発疹の現れる乳幼児を中心に流行するウイルス性発疹症です。潜伏期は1~5日。初夏から秋に多くみられ、水疱を伴う発疹が手足から肘や膝、臀部周囲にもみられることがあります。乳幼児の罹患は不顕性が多く、家族内感染もみられます。自然治癒(3~7日)する基本的には予後良好な疾患です。

合併症
無菌性髄膜炎・心筋炎(コクサッキーA16)
鑑別疾患
ヘルパンギーナ・水痘・単純ヘルペス感染症

水痘症

ヘルペスウイルス群の水痘ウイルスによる感染症で、幼児や学童期に多く、又冬から春にかけて流行する傾向があります。(1年を通じて発生します。)不顕性感染は少なく、麻疹(はしか)同様の強い感染力があります。
発熱とほぼ同時に水疱を伴う発疹が出現します。発疹は紅斑(発赤)として始まり数日内に掻痒を伴う丘疹・膿疱・痂皮の順に進行し痂皮は数日後に落屑します。
体幹部、四肢、顔面、頭髪部に各段階のものが混在するのが特徴です。又皮疹の数は重症度と相関します。
潜伏期は平均14日(10~21日)で、全て痂皮化すると感染性はなくなります。

注意
2次感染(細菌)をおこすと、色素脱失や色素沈着を数ヶ月以上残す。免疫不全患者では、重症化、死亡することがある。成人水痘症は重症化傾向があり、肺炎の併発に注意が必要。
先天性水痘症候群は、妊娠初期(8~20週)の初感染により、胎児に異常をおこす可能性が高い疾患です。
治療
掻痒には塗布剤、抗ヒスタミン剤の内服、外用を使用します。解熱剤は、アセトアミノフェン(アンヒバ、カロナール)を使用します。早期治癒・回復のため、又重症化、併発症の軽減の目的でゾビラックス顆粒(抗ウイルス薬)を感染初期(水疱出現3日以内)に投与開始が勧められます。
登園、登校は全ての皮疹が痂皮化して、感染力がなくなってから可能となります。

溶連菌感染症

鼻汁、唾液中の溶連菌の飛散により鼻・咽腔を通じ人から人に感染します。食品、飲料水を介しての経口感染や皮膚の創傷部からの感染もあります。幼児、学童に好発しますが、成人にも発祥することもあります。冬から春にかけて多くみられます。風邪症状には注意が必要です。
潜伏期は1~4日で、突然の発熱(38度以上)咽頭痛、嚥下時痛、扁桃発赤、頚部リンパ腺腫脹、時に皮疹がでます。小児の場合は嘔吐、腹痛などもみられることがあり、特徴的ないちご舌や皮疹がみられることもあります。
発熱は3~5日以内に下がり主な症状は通常1週間以内に消失します。菌が産生する毒素に免疫を持たない場合は猩紅熱となります。診断は血液検査(白血球の増加、ASO値等)や咽頭培養で行います。

合併症
扁桃周囲膿瘍、急性中耳炎、急性副鼻腔炎、リウマチ熱、急性糸球体腎炎
治療
ペニシリン系、セフェム系、マクロライド系の抗生剤が有効です。抗菌剤の投与は7-10日間必要です。脱水症の場合は補液が必要です。学校、家庭での集団発生が多いので、保菌者の治療や予防が必要です。
りんご病、手足口病、帯状疱疹と同じく、出席停止期間の基準が決められていますので、かかりつけ医に相談してください。

流行性耳下腺炎
(おたふくかぜ)

ムンプスウイルスの飛沫感染による耳下腺や顎下腺など唾液腺の感染症です。3才~6才くらいに好発します。潜伏期は2~3週間です。冬~春にかけてよくみられますが、夏でもあります。発熱と耳下腺の腫脹で始まることが多く、耳下腺の腫れは片側、又は両側にみられますが、発赤はありません。物を噛んだり、話す時に痛みが増します。
顎下腺や舌下腺が腫れることもあります。通常は予後良好な疾患です。治療は特異的な治療法はなく対症療法となります。登園、登校は耳下腺の腫れが消失してからとなります。

予防
弱毒性ワクチンの接種が最も有効な手段で、1歳以上の小児(就学前が望ましい)及び成人に接種します(任意)。
リウマチ熱、急性糸球体腎炎
合併症
髄膜炎、脳炎(小児に多く、10%程度)、精巣炎、
精巣上体炎(思春期以降の感染でおおく、不妊症の原因に一つになりますが、完全な不妊症は稀です。)
膵炎、腎炎、心筋炎、難聴(片側性のことが多いが、時に両側性。頻度は低いが、難治性)、卵巣炎

伝染性紅斑(りんご病)

4歳~12歳の園児・学童に好発する流行性発疹性疾患です。ヒトパルボウイルスB19の飛沫・接触で、主に経気道的に感染します。感染後1週間で発熱、倦怠感、筋肉痛などの症状が現れ、14~18日の潜伏期を経て発疹が出現します。
頬に出現する蝶形紅斑(蝶がハネを拡げたような両頬の発赤)が特徴的で、リンゴ様に見えることからリンゴ病と呼ばれます。腕、ついで大腿、臀部などに網目様・レース状の紅斑が出現します。
小児では70%以上が顕性感染(症状を表すもの)ですが、成人は70%に関節痛が認められるものの不顕性感染(感染しても発病することなくおわる)多いと言われています。妊娠中に感染すると胎児の脳発育に影響を及ぼす可能性があり、注意が必要です。
発疹が出るころには感染力は無く、既に発疹の出現している児童との接触を避ける必要はありません。

予後
その殆どは経過良好で特に治療の必要なく回復します。時に、一旦消失した発疹が稀に日光・気温・物理的刺激・ストレスなどで再出現することがあります。
鑑別すべき疾患は、アレルギー性湿疹(カビ・ハウスダスト・犬や猫の毛・花粉)や薬の副作用ででる薬疹、膠原病(自己免疫疾患)などがあります。

咽頭・結膜炎(プール熱)

のどの痛み(咽頭炎、扁桃炎)・目の充血(結膜炎)・発熱を主症状として幼児・学童に好発するアデノウイルス感染症です。プールや集団生活、家族内での(通年性)感染がみられます。
対症治療が主となりますが、高熱が続くような場合は肺炎の併発など2次感染対策が必要になります。

合併症・
鑑別すべき疾患
肺炎、ヘルペスウイルスの角結膜炎、急性出血性結膜炎(エンテロウイルス)

ヘルパンギーナ

夏場に流行しやすい手足口病やプール熱と同様にウイルス感染症です。コクサッキーウイルスの感染でおこります。急性期~回復期の特に咽頭痛がある間の飛沫感染が主な感染経路です。39度前後の発熱があり、咽頭、口腔粘膜、舌などに小さい水疱性の潰瘍ができ食事などで強い痛みがでます。幼・小児に多く平均4~5日で改善します。
治療は発熱に対する対症療法が主で、水分補給に気をつけます。座薬などの解熱剤を使用します。
全身状態が安定したら登園・登校しましょう。